@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:00012769, author = {吉田, 有希}, issue = {3}, journal = {比較法雑誌}, month = {Dec}, note = {application/pdf, 近時日本に導入された協議合意制度のように,標的事件に関する情報や証言を引き出すため協力者に何らかの利益を約束するという捜査訴追協力型取引に向けられる批判のひとつが,協力者による虚偽証言の危険性である。本稿はこの捜査訴追協力型取引に基づく虚偽証言の問題について,司法取引先進国であるアメリカ合衆国がどのように解しているかを考察するものである。  すなわち,まず,合衆国最高裁は19世紀末に,協力者証言と同様に類型的虚偽のおそれがあると見られる共犯者証言について,陪審の事実認定機能を強調して証拠能力を認めた。そして,捜査訴追協力型取引を結んだ協力者の証言についてもまた,証拠開示や反対尋問等の手続保障があることを理由に,陪審がその真偽を吟味することが可能となるから,証拠排除する必要はないと判断している。  他方,実務においては,通常の取引よりも虚偽の危険性を高めるように見える条件付取引が利用されている。このため,通常の捜査訴追協力型取引は許容されるとしても,条件付取引であれば協力者証言が排除されるのではないかということが問題になる。しかし,連邦控訴裁判所は,結果的には条件付取引による虚偽のおそれは協力者証言の排除を基礎付けないと判断する点で一致を見る。これは,一般に受容されている捜査訴追協力型取引もまた黙示の条件付取引に当たるのであるから,実際のところ両者は危険性の程度が変わらないことに加えて,条件付取引によって手続保障が損なわれ,適正な事実認定が害されると見るべき事情がないことに起因すると考えられる。  以上により,少なくとも捜査訴追協力型取引による類型的虚偽のおそれは,その存在が肯定されながらも,当該取引が条件付か否かを問わず,証拠排除の根拠にはならないことが確立されていると言える。}, pages = {261--293}, title = {アメリカ合衆国における捜査訴追協力型取引と虚偽証言のおそれ}, volume = {53}, year = {2019}, yomi = {ヨシダ, ユキ} }