@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:00016018, author = {稲垣, 行子}, issue = {3}, journal = {比較法雑誌}, month = {Dec}, note = {application/pdf, 公立図書館が行う図書(書籍)の貸出しは,図書館法の無料原則により利用者から利用料を徴収していないのが現状である。著作者の中でも職業作家は,公立図書館が行う図書の無料貸出しにより,引き起こされる損失部分について,何等かの報酬を得ることを希望するようになった。  欧州諸国では,「著作者の著作物が,図書館の図書の貸出しにより引き起こされた収入源の損失に対して,報酬を著作者に与える権利を認める」という制度を構築してきた。この制度は公貸権制度と呼ばれ,この報酬請求権を公貸権としている。公貸権は,著作者が被る損失の補填をするという報酬請求権であり,経済的な権利である。  公貸権制度は条約や協定のない制度であるが,EU加盟国を中心に,現在34か国で導入されている。日本を含めてアジア諸国では,図書館の書籍の貸出しに対して,著作者に損失補填をするという考え方になじまないようで,公貸権制度を導入する国がなかった。  2019年12月31日に台湾が,教育部及び文化部(部は日本の省レベル)が国立公共資訊図書館及び国立台湾図書館において,2020年1月1日から2022年12月31日までの期間に,公貸権を試行導入することを発表した。さらにWIPOの2020年著作権等常任理事会(SCCR)39thの会合で,シエラレオネ共和国が世界の公貸権制度の調査について発言した。SCCR40thの会合で,マラウイとパナマが共同提案国として加わった上で正式に提案している。今まで公貸権の制度がなかった国や地域が,導入や関心を持つようになっている。  本稿は,図書館の書籍(図書)の貸出しに関係する権利として,著作権法の貸与権について述べ,その上で公貸権との関係及び概要並びに現状などについて述べる。さらに新しく導入を検討している国の動向や,今後の方向性について述べていく。}, pages = {83--107}, title = {公貸権制度の動向}, volume = {55}, year = {2021}, yomi = {イナガキ, ユキコ} }