@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:00016028, author = {森, 勇}, issue = {4}, journal = {比較法雑誌}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 2015年にアメリカで発覚したフォルクスワーゲングループによるいわゆる「ディーゼルスキャンダル」をめぐり,まずはアメリカ合衆国司法省,次いでドイツ検察による捜査が繰り広げられることになった。アメリカでの刑事手続は,2017年1月11日に成立した司法取引によりその終結をみたが,ドイツの検察による,問題のディーゼルエンジンを開発・製造したフォルクスワーゲングループ傘下のアウディーとその関係者に対する捜査は続けられ,2021年現在も公判が続いていることはわが国でも多くの人の知るところである。  このスキャンダルは,2017年,その捜査のあり方をめぐってドイツ連邦憲法裁判所にその歩を進め,2018年6月23日,三つの裁判(決定)を生み出し,それらは弁護士界に大きな衝撃をもたらした。発端は弁護士事務所(施設)の家宅捜索とそこにあった文書・データの押収である。家宅捜索を受けたのは,Jones Day法律事務処(組織)がミュンヘンに設置する事務所である。そして押収されたのは,同事務処がフォルクスワーゲンの依頼を受けて,全フォルクスワーゲングループを対象に行った内部調査に関する諸資料であった。  連邦憲法裁判所は,この押収に関連して提起された憲法抗告の要件をことごとく退けたのであった。  なぜ法律事務処が保管する内部調査資料の押収が認められたのか。あるいは,内部調査資料の差押えにおいては,そもそも何がコアとなる問題だったのか。本稿では,ディーゼルスキャンダルにまつわる刑事手続きに関して下された連邦憲法裁判所の決定に紐づけして,一方ではドイツの差押禁止のスキームを概観し,他方では内部調査が抱える問題の一端に視線を当てるべく,はじめに(Ⅰ)続けて,連邦憲法裁判所に持ち込まれた事案(Ⅱ),ドイツ刑事訴訟法における差押え禁止の規律(Ⅲ),内部調査資料の差押えに関する先行裁判例(Ⅳ),連邦憲法裁判所が下した三つの決定(Ⅴ)そして最後に結語に代えて,内部調査に関する一つの立法提案概要(Ⅵ)を紹介する。これらは,弁護士が保管する資料ないしはデータの差押えをめぐるわが国の規律を,憲法的視点も加えて洗い直す必要とその際の視点を示唆してくれるはずであるし,また,今後さらに弁護士業務として発展していくと考えられる内部調査の有り様を検討する際の一つの資料となるはずである。刑事手続きには疎い筆者が,あえて本稿を起こすゆえんである。}, pages = {173--212}, title = {ドイツにおける内部調査資料の押収とその問題点について:連邦憲法裁判所が2018年6月23日に下した三つの決定に寄せて}, volume = {55}, year = {2022}, yomi = {モリ, イサム} }