@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:00016710, author = {隅田, 陽介}, issue = {1}, journal = {比較法雑誌}, month = {Jun}, note = {application/pdf, 現在,わが国を含め,世界中の複数の国々で犯罪被害者やその家族に対して経済的な補償を行う被害者補償制度が整備されている。同制度に関しては,限りある財源の下で公平性を維持しつつ,できるだけ多くの被害者に対して補償を行うために一定の要件が設けられている。ただし,それらの要件の前提になっているともいえる「罪のない被害者(innocent victims)」でなければならないという考え方は,この文言をどのように解釈するのか難しい問題を伴っていると思われる。例えば,アメリカ合衆国において,具体的にこの文言との関係で議論されているのは,いくつかの州で規定されている,犯罪経歴を有する被害者に対しては同制度の適用を制限するということの是非である。こうした制限があるために,被害者自身及びその家族も当該犯罪には何ら関与しておらず,刑事上の責任を問われていないにも拘らず,被害者が過去に何らかの罪で有罪判決を受けたことがあるという理由で補償を受けられないというような事態が生じているからである。  そこで,本稿では,まず,合衆国における被害者補償制度について簡単に触れ,次に,犯罪経歴の取り扱いに関する実務の評価や法改正を含めた近時の動向等に言及した後,最後に,犯罪経歴の取り扱いについて,補償制度の目的や刑罰の目的との関係等から若干の検討をしてみた。  そして,結論として,①犯罪経歴を理由とした制限は,それを有する被害者に対して更なる重荷を課すだけで,何らかの刑罰の目的に適っているとは考えられない,②補償を受けるに相応しい「罪のない被害者」であるかどうかは,犯罪経歴に機械的に依拠して,過去に遡ってまでそれがあるかどうかという形で判断されるのではなく,補償を申請する原因となった個別の事案ごとに,当該事案の内容や被害者が被害を受けるに至った経緯・状況等から判断されるべきであるということを指摘した。  なお,本稿末尾では,わが国の犯罪被害者等給付金支給制度における前科の取り扱いについても言及している。}, pages = {61--94}, title = {犯罪経歴を有する被害者と被害者補償制度 : 補償に相応しい「罪のない被害者」の考え方}, volume = {56}, year = {2022}, yomi = {スミタ, ヨウスケ} }