@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:02000177, author = {神山,静香 and コウヤマ,シズカ and KOYAMA,Shizuka}, issue = {4}, journal = {比較法雑誌}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 本稿では,2021年のボーイング株主代表訴訟を取り上げ,提訴請求の無益性判断に関する裁判所の立場の変化について考察し,ESGリスクと取締役会の監督義務をめぐる判例法理の展開と理論的枠組みを明らかにする。会社が直面するESG課題が法律上の規制対象でなくても,会社の対応やESGリスク管理体制の不備は会社のレピュテーションや財務上のリスク要因となる。米国では,取締役会は信認義務の一環として法令遵守体制構築義務を負うことを明らかにしたケアマーク判決の枠組みの下で,2020年以降,取締役会の監督責任を追及する株主代表訴訟が相次いで提起された。従来,ディスカバリを経ずに証拠を収集し,免除の要件を満たす事実を立証することは難しく,ケアマーク基準に基づき監督権の行使にかかる責任を追及することは事実上,不可能であった。しかし,裁判所が株主の帳簿および記録の閲覧権の行使を広く認め,膨大な内部資料の入手を可能にしたことで,原告株主は取締役の信認義務違反を裏づける具体的事実を立証することが可能となり,これらの訴訟では,取締役会に対する提訴請求の免除が認められている。裁判所は,経営判断原則を適用することで謙抑的立場を維持し,法令遵守リスクと法律上の規制対象ではない事業リスクに対する監督義務を明確に区別すべきとの立場に立ってきたが,近年,顕在化したESGリスクが法令違反に該当する場合にのみ監督責任を追及し得るのではなく,取締役会の信認義務の範囲を法令遵守の域を超え,会社にとってミッションクリティカルなESG課題やリスクの監督にまで拡張することを肯定しているように思われる。取締役の民事責任によって企業の事業活動から生じる負の外部性,すなわち外部不経済をコストを発生させた者に内部化することにより最適な抑止を図り,ステークホルダー間の価値の最適配分および社会的厚生の増大を実現することの妥当性について理論的検討を行う。}, pages = {83--115}, title = {ESGリスクと取締役の民事責任 : 米国の株主代表訴訟における提訴請求の「無益性」をめぐる判例法理の変化}, volume = {56}, year = {2023} }