@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:02000370, author = {新田,孝行 and ニッタ,タカユキ and NITTA,Takayuki}, journal = {人文研紀要}, month = {Sep}, note = {application/pdf, フランスの地方で甚大な原発事故が発生した状況下のパリが舞台のジャン=クロード・ビエット監督『カルパチアの茸』(1990年)は,放射能汚染をテーマとする多くの映画のなかでも異色の一本である。その危機は公開当時,チェルノブイリ原発事故がまだ人々の記憶に新しかったにもかかわらず,現実ではなく一種のおとぎ話として描かれる。例えば被曝者として唯一登場する女性マドレーヌは病を発症する代わりに声を失う。映画で沈黙する人物がしばしばそうであるように,彼女はある種の超人性を帯び,その謎めいた存在は観客の解釈を誘う。おとぎ話的側面の一方でビエットは大文字の歴史,とりわけ第二次世界大戦の痕跡をフィルム内に様々な形で配置する。こうして現在や過去の事実をおとぎ話化することで,『カルパチアの茸』は歴史的な出来事の必然性を宙づりにし,カタストロフの直前の瞬間における,それが起こらなかった可能性を映画的フィクションとして提示する。}, pages = {61--87}, title = {「チェルノブイリのあと」のおとぎ話 : ジャン=クロード・ビエット『カルパチアの茸』におけるカタストロフと歴史}, volume = {104}, year = {2023} }