@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:00006768, author = {谷口, 洋志}, journal = {経済研究所 Discussion Paper, IERCU Discussion Paper}, month = {Mar}, note = {application/pdf, アベノミクスにおける経済政策の目標は、短期的にはデフレ脱却、中長期的には持続的経済成長であり、それを実現するための政策手段が、大胆な金融緩和政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略から構成される「3つの矢」である。アベノミクスの経済政策は、表面的には名目総需要拡大の供給サイドの強化を目指す伝統的な経済安定・成長政策に見えるが、実際には長期国債買入等を通じてのマネタリーベースの拡大、巨額の債務制約下での予算編成、制度やルールの変更に伴う新たな規制の導入といった点で非伝統的な政策と理解される。  アベノミクスの成果として、株価、経済成長率、企業業績、雇用等における改善が指摘されることが多いが、経済指標を注意深く観察すると、アベノミクスの成果の幾つかは疑わしく、また、別の幾つかはアベノミクスの成果とは言いがたい。GDP水準やその成長率は最盛期の水準になく、景気や雇用は2009年後半から回復基調にあり、税収増の大部分は2014年4月の消費税増税によるところが大きい。株価上昇や円安の進展についても、2014年4月の量的・質的金融緩和の導入以前に大部分が実現し、大胆な金融緩和導入の影響はほとんどない。欧米の経済・金融・財政動向や、日米欧の金融政策スタンスの違いが株価や円安の動向に影響していると見られる。  アベノミクスの「第3の矢」である成長戦略はまだ実践されておらず、「第2の矢」である機動的財政政策の「拡張性」は著しく弱く、「第1の矢」である金融緩和政策はインフレ目標をまだ達成しておらず、実現の見通しも立っていない。特に、2%のインフレ目標の実現は、デフレ脱却から持続的な経済成長を実現するための最初の一歩と位置付けられていたので、アベノミクスは失敗したとは言えないまでも、約束を果たしていないと批判されざるを得ない。}, title = {アベノミクスの経済政策}, volume = {250}, year = {2015}, yomi = {タニグチ, ヨウジ} }