@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:00007470, author = {廣岡, 守穂}, issue = {9・10}, journal = {法学新報}, month = {Mar}, note = {一八九〇年代に教育勅語を発布した政府は儒教主義的な家庭道徳の教育にのりだす。まさにそのころ新聞界では家庭小説が数多く連載されるようになる。尾崎紅葉の『金色夜叉』、徳富蘆花の『不如帰』をはじめ、菊池幽芳の『己が罪』『乳姉妹』、村井弦斎『食道楽』、柳川春葉『生きぬ仲』、渡辺霞亭『渦巻』などがその代表的な作品である。  家庭小説が好んでとりあげた主題は、儒教主義的な家族道徳がいかに罪なき女性に過酷な忍従を強いるかということであった。ひたすら耐えるヒロインに読者は涙したが、まさにそれは儒教的な家族道徳に対する抗議であり暗黙の批判であった。  家庭小説は当時の一般的な道徳意識にあわせたものであり、恋愛結婚を肯定したわけでも、良妻賢母を否定したわけでもなかった。しかし菊池幽芳の『己が罪』にあらわされるように、家父長制より夫婦の愛による紐帯を優先させる志向を持っていた。夫婦という自発的なつながりに家族の原点を見出そうとするところに、市民社会の萌芽がうかがわれるのである。}, pages = {441--471}, title = {家庭小説にみる市民社会の萌芽―菊池幽芳の『己が罪』をめぐる一考察―}, volume = {121}, year = {2015}, yomi = {ヒロオカ, モリホ} }