@article{oai:chuo-u.repo.nii.ac.jp:00008822, author = {ベック, スザンネ and 樋笠, 尭士}, issue = {2}, journal = {比較法雑誌}, month = {Sep}, note = {application/pdf, 本稿は,倫理的な問題をはじめ,特殊なテーマである予想医学に関して,法学的観点から考察を行うものである。予想医学においては,患者が他の検査の最中において,図らずも,ある疾病リスクを知ってしまうという危険が存するのである。ドイツにおいては,患者の指示(Patientenverfügung)が医療等の現場において重要とされていることから,例えば認知症など,統計的に低い確率で将来的に発症するリスクを患者が認識した場合には,患者は自分の将来に関して前もって何らかの決断を迫られることがある。  ここで,患者には,自身の疾病リスクについて「知らないでいる権利」が保護されなければならない。これは,患者の有する自己決定権の一つである。しかしながら,患者が将来の疾病状態について,まさに自分がその状況に置かれたと仮定して判断する能力や,その時に自身が何を望むであろうかを認識する能力を過大に評価してしまう危険が存在する。したがって,事前の患者の指示が有効であるか否かを判断するのは困難なのである。  そこで本稿は,「アドバンスケアプランニング」を活用し,患者の意思を動的に形成しようと試論する。そして,現在ドイツ連邦議会で審議中であるドイツ社会法典第5編138条gを挙げ,終末期における健康に向けた診療のプランニングについて,その方法論を具体的に検討する。  その上で,予想医学の中でも,とりわけ遺伝子診断に着目し,自分の遺伝子情報に関する患者の「知らないでいる権利」を認める。かかる権利は,血縁関係にある家族の「知る権利」と衝突するものである。これに関して本稿は,ドイツ連邦通常裁判所の近時の判例に言及する。同判例においては,一般的な人格権が,患者が自身の遺伝的特性について知らないでいる利益を保護していると判示されている。この議論を手がかりに,本稿は,患者本人の自己決定権と,家族・雇用主・保険会社などの関係者の権利の対立を分析し,法的安定性と権利の併存を探究するものである。}, pages = {281--296}, title = {予想医学: 法的観点から}, volume = {50}, year = {2016}, yomi = {ヒカサ, タカシ} }